誇るべき高島市の高い文化力、発信!

高島市ならではの高島市文化振興ビジョンを

 昨年9月2日福井県および福井県若狭町を視察しました。その目的は文化財を保護という観点にとどまらず文化財を生かして、その地に住む人々の誇りを取り戻し、まちの文化を振興しようという取り組みの現場を視察するためです。

 

 その取り組みの姿勢はまず組織に現れています。福井県では観光営業部の中に文化振興課が、若狭町では歴史文化課、パレア文化課が教育委員会の管轄ではなく、町長部局におかれています。滋賀県は教育委員会の文化財保護課、高島市は同じく教育委員会の文化財課が文化財の保護や活用の役割を担っています。福井県の観光営部の文化振興課の方に、「どうして、文化振興課が観光営業部にあるのですか?それはいつからですか?」とお尋ねすると、「これは前からで福井県独自のものではなく、全国的な流れに乗ったまでのことです。全国のほとんどがそのような位置づけではないか」とのことでした。

 

 福井県の文化財や文化的景観をいかした観光の取り組みなど、組織内の連携をいかした数々の取り組みは素晴らしいものでした。そして電車で移動して若狭町の、高島市と隣接する熊川宿のあゆみをパレア文化課長にお聞かせいただきました。実際に現地に行って、福井県庁のある嶺北と嶺南部若狭町の雰囲気や言葉のニュアンスも違うことが感じられました。それは滋賀県庁のある琵琶湖の南と北西、高島市に住む人々の文化や言葉のニュアンスも異なるのも同じことです。でも、それを感じる、それがここだけの文化、ここにしかない文化そのものです。それが、来てよかった、ここまで足を運ばないと感じることのできないもの。たとえ遠くからでも、ここに足を運ばせるきっかけ、強い動機になるもの、それがここにしかない文化なのです。

 

 滋賀県文化振興基本方針(第2次)が3月に策定され、

その中の【重点施策2】地域で継承されてきた文化的資産の発掘・保存・活用

の【主な取組】①滋賀ならではの文化的資産の発掘

       ②滋賀ならではの文化的資産の保存と活用 

とあります。これを高島市で言い換えると、

高島市ならではの文化的資産の発掘、保存と活用になります。

 

 1位東京都、2位京都府、3位奈良県に次いで全国4位813件の国宝と国指定重要文化財を持つ滋賀県。しかしそのことを知る県民、国民の認知度はいかほどでしょうか。日本遺産に指定されてもアピール力はお隣の福井県に比べて低いのではないでしょうか。ちなみに福井県は23位で106件です。国宝・重要文化財総数ランキングでは偏差値60.5、格付Aランクの素晴らしい滋賀県、素晴らしい資産を十分に生かし切れているでしょうか。

 

 文化振興基本方針が対象とする文化の範囲は

・芸術(文学、音楽、美術、写真、演劇、舞踊、メディア芸術など)

・地域において継承されてきた文化的資産(有形・無形の文化財、生活文化等)

・人々の生活とともに形成されてきた魅力ある風景

などを主な対象分野とする、とあります。

 

地域の伝統文化や伝統行事は、文化の中のいくつもあるジャンルの1分野にとどまるものでは決してありません。地域の、ここだけの、高島市だけの伝統文化や行事や景観、人々の日々の暮らしの営みこそが、高島市の文化の根底をなすものです。

 

 若狭町の視察ではたくさんの素晴らしい資料を頂いたのですが、その中でもパレア文化課にも残り少ない貴重な資料を課長にお願いして、譲り受けました。それが「若狭町環境・芸術・文化振興ビジョン」〜芸術、文化の薫り高い環境のまち・若狭町〜です。

「若狭町環境・芸術・文化振興ビジョン」を策定するにあたって、若狭町がなにをしたか、各集落区長に伝統行事・神社仏閣・文化的要望等調査を依頼したのです。その調査結果が「若狭町環境・芸術・文化振興ビジョン」の資料2

 ・集落の伝統行事、神社仏閣一覧

 ・指定文化財一覧

にあります。調査資料としてだけでも十分に価値のあるものですが、単なる資料にとどまりません。地域独自の文化は、各集落に生まれ脈々と受け継がれた伝統行事や神社仏閣を抜きに語れないのです。

 

おんこちしん

【温故知新】昔の事をたずね求め(=温)て、そこから新しい知識・見解を導くこと

 

高島市内各集落の伝統行事・神社仏閣を把握することは、新しい高島市ならではの文化振興ビジョンを立てるからこそ、とても重要なことです。市民のみなさんは自分の集落の祭りや行事はわかるけれども、他の集落の祭りや行事を知る機会は少ないでしょう。自分の集落だけでなく高島市の他の集落の祭りや行事を一覧で知ることができれば、思いがけない新しい発見があり、当たり前だと思っていた自分の集落の祭りをまた新しい目で見ることができ、地元の誇りを、高島市全体の誇りを高めることに大いにつながることでしょう。

 

 

 

 

 

提案型質問1)市内の文化財を生かした観光など、連携を高めるために高島市の文化財課の所管を教育委員会から市長部局のたとえば商工観光部にしてはいかがでしょうか?

 

提案型質問2)若狭町は日本遺産のアピールとして町のHPから若狭町の日本遺産「御食国若狭と鯖街道〜海と都をつなぐ若狭の往来文化遺産群」を紹介する特設HPにリンクするバナーがあります。
高島市も日本遺産「琵琶湖とその水辺景観-祈りと暮らしの水遺産」 
・海津、西浜、知内の水辺景観 ・針江、霜降の水辺景観 ・大溝の水辺景観

市内3つもの地域が認定されています。高島市内の日本遺産を紹介するHPを作り、リンクするバナーを市HPに貼ることを提案します。いかがでしょうか?

せめて公益社団法人びわこビジターズビューローが作成している滋賀・びわ湖観光情報HPの中にある日本遺産 滋賀のページ( http://ja.biwako-visitors.jp/japan-heritage/)のバナーを高島市のHPトップに貼りリンクすると良いと思います。いかがでしょうか?とてもPR効果があると思います。

 

提案型質問3)若狭町の日本遺産「御食国若狭と鯖街道」これは、高島市朽木地域の鯖街道と連携して相乗効果があるものだと思います。若狭町の日本遺産を観て、朽木を経由してさらに高島市内3つの日本遺産を巡る旅路を容易に提案できると思います。さらには京都まで連携すると、日本遺産や世界遺産を存分に堪能できることでしょう。

鯖街道と日本遺産を通じて若狭町、京都市と観光と文化の連携をとることを提案します。いかがでしょうか? 

 

提案型質問4)高島市の文化振興ビジョンまたは方針や計画を策定するにあたり、各集落区長に伝統行事や神社仏閣などの調査をされ、その調査結果をもとに、文化振興計画等の審議会、または策定委員会等の委員に共通認識を持っていただいた上で、高島市の文化振興ビジョンを立案されてはいかがでしょうか?